「リベース(rebase)」とは、バージョン管理システム(VCS)で一般的に使われる用語で、コミット履歴を操作する方法の1つです。
通常、VCSを使っていると、開発者は自分の作業用ブランチを作成し、その中で変更を加え、コミットを行います。この作業が進むと、複数の開発者が同じブランチ上で作業することになります。それぞれの作業は、マージ(merge)という操作によって、一つのブランチに統合されます。
しかし、マージには問題があります。例えば、同じファイルを複数の開発者が変更した場合、マージがうまく行かなかったり、コンフリクト(conflict:衝突)が発生したりすることがあります。それに加え、マージによって、コミット履歴が複雑化し、見通しが悪くなることもあります。
このような問題を解決するために、リベースが導入されました。リベースは、あるブランチから別のブランチに、直接変更内容をコピーする方法で、コミット履歴をきれいに保ちながら作業を進めることができます。
リベースを行うことで、コミット履歴がすっきりと整理されます。リベースは、開発者が個別に行うことも、チーム全体で行うこともできます。以下に、それぞれの方法について説明します。
1. 個人的なリベース
個人的なリベースは、ある開発者が自分の作業ブランチに対して行うもので、他の人が操作することはありません。この方法は、以下のような場合に使用されます。
・修正分のコミットを単純に一か所にまとめたい場合
・マージコミットをなくし、コミット履歴をすっきりさせたい場合
・別のブランチにコミットを適用したい場合(例:不具合修正をリリースブランチに統合)
個人的なリベースを行う場合は、以下の手順になります。
1. ブランチの親となるコミットを指定する
2. 変更範囲を選択する
3. 選択されたコミットを取り込む
4. ブランチを移動する
5. マージを行う
2. チーム開発におけるリベース
チーム全体でリベースを行う場合は、以下のような場合が考えられます。
・複数人で同じ作業ブランチに作業する場合(例:機能ブランチ)
・マージ作業が難しい場合
チーム開発におけるリベースは、以下の手順になります。
1. ブランチの移動
2. リベースを行う
3. ブランチを移動させながらリベースを繰り返す
4. 変更ブランチをマージする
以上が、リベースの概要についての説明です。リベースは、マージに比べて履歴が過度に複雑化しないため、誤った復元やバックアウトが発生する心配がなく、開発者にとって素晴らしいツールとなっています。特に、多人数での開発においては、高い生産性と品質を実現するために必要不可欠な技術であると言えます。