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現場でよく聞くIT用語!!「継承」について解説!

継承(inheritance)は、オブジェクト指向ログラミングにおいて非常に重要な概念であり、IT業界で広く使われています。継承は、クラス(class)というプログラミングの基本構造を拡張するための仕組みです。

継承によって、既存のクラス(親クラス、スーパークラス)のプロパティやメソッドを新たなクラス(子クラス、サブクラス)に引き継ぐことができます。この引き継ぎは、親クラスの特性や機能を再利用し、効率的にコードを記述するための手法として重要です。継承によって、コードの重複を避け、保守性や可読性を改善することができます。

継承を行うには、子クラスが親クラスを指定(継承)する必要があります。子クラスは、親クラスの全てのパブリックなメンバーにアクセスできますが、親クラスのプライベートなデータやメソッドにはアクセスできません。ただし、親クラスが子クラスに対して公開しているインターフェース(パブリックなメンバー)を通じて、親クラスの内部の挙動を利用することはできます。

継承によって、既存のクラスを拡張することができます。例えば、人間(Human)クラスがあるとします。この人間クラスには「名前」や「年齢」といったプロパティ、そして「歩く」といったメソッドが含まれるとします。このクラスを継承して、さらに特殊なクラスを作ることができます。

例えば、「学生(Student)」クラスを作ることを考えてみましょう。学生クラスは、人間クラスの特性を引き継ぎつつ、さらに学生専用の特性を追加することができます。学生クラスには、「学籍番号」や「所属学校」といったプロパティ、そして「勉強する」といったメソッドを追加することができます。

継承によって、クラスの階層構造を構築することも可能です。例えば、動物(Animal)クラスを作成し、その子クラスとして犬(Dog)クラス、猫(Cat)クラス、鳥(Bird)クラスを作ることができます。動物クラスには、共通の特性や振る舞い(例えば「食べる」や「寝る」)が含まれ、子クラスにはそれぞれの種別に特有の特性や振る舞い(例えば「吠える」や「鳴く」)が追加されます。

継承を使うことで、コードの重複を避けることができます。例えば、学生クラスと社員(Employee)クラスが、人間クラスから継承されるとします。人間クラスには「名前」や「年齢」といった共通のプロパティやメソッドが含まれ、学生クラスには学生専用のプロパティやメソッドが、社員クラスには社員専用のプロパティやメソッドが追加されることになります。しかし、それぞれのクラスが人間クラスのプロパティやメソッドを再度実装する必要はありません。継承によって、人間クラスのプロパティやメソッドが自動的に子クラスに引き継がれるため、コードを効率的かつ再利用可能な形で記述することができます。

継承は、プログラミングの効率性を向上させるための強力なツールです。クラスの階層構造を構築し、既存のクラスの特性や機能を再利用することで、コードの重複を避け、保守性や可読性を高めることができます。また、継承を活用することで、より柔軟なプログラム設計が可能になります。子クラスは親クラスを拡張するため、既存のクラスを変更せずに新たなクラスを作成することができます。これにより、ソフトウェアの拡張性や再利用性を向上させることができます。

継承は、IT業界で幅広く活用されている概念であり、多くのプログラミング言語でサポートされています。しかし、適切な継承の使用は重要です。過度の継承は、コードの複雑さや冗長性を増加させる可能性があります。また、継承は型の依存関係を作り出すため、変更が生じた場合に影響を受ける範囲も広がります。そのため、適切な設計や抽象化が必要です。

継承は、オブジェクト指向プログラミングの基本的な概念であり、IT業界では広く使われています。プログラマーは、継承を理解し、効果的に活用することで、より効率的なコードの設計と保守を実現することができます。