はじめに
2026年1月27日、広島東洋カープの羽月隆太郎容疑者(25歳)が「ゾンビたばこ」使用疑いで逮捕されました。「ゾンビたばこ」とは、指定薬物「エトミデート」を含む危険ドラッグの俗称です。過剰摂取すると手足がけいれんし、意識を失う場合がある危険な薬物で、若年層を中心に乱用が広がっています。本記事では、「ゾンビたばこ」とは何か、エトミデートの危険性、そして法律による規制について詳しく解説します。
「ゾンビたばこ」とは何か
指定薬物エトミデートを含む危険ドラッグ
「ゾンビたばこ」とは、違法な医薬品成分「エトミデート」を含む危険ドラッグの俗称です。
電子たばこで吸引するということと、過剰摂取すると手足がけいれんするなどの副作用があることから、このように呼ばれています。
電子たばこのリキッドに混入
エトミデートは、電子たばこのリキッド(液体)に違法に添加され、カートリッジに詰めて加熱し、電子たばこで吸引するケースが多いです。
一見、普通の電子たばこのリキッドにしか見えないのが、このドラッグの最も危険な点です。
エトミデートとは
海外では麻酔に使われる鎮静剤
エトミデートは、海外では麻酔手術などに使われる鎮静剤です。
脳の中枢神経に働きかけて神経の働きを強く抑える作用があります。
日本では医療用としても未承認
日本では医療用としても承認されていない薬物です。
医療現場での使用は認められていません。
なぜ「ゾンビたばこ」と呼ばれるのか
過剰摂取すると「ゾンビのような」症状
エトミデートを過剰摂取すると、以下のような深刻な症状が現れることから、「ゾンビたばこ」と呼ばれています。
主な症状
- 手足のけいれんやふるえ
- 意識を失う(意識喪失)
- 体をコントロールできなくなる
- ふらふらと泥酔したような状態になる
- 立っていられなくなる
- 精神錯乱
- 幻覚作用
- 奇声を発する
- 情緒が不安定になる
- 自傷行為
中国のSNSで拡散
中国のSNSなどで、使用者が街中をふらふらと徘徊する様子が公開され、その異常な状態から「ゾンビ」という名前が定着しました。
エトミデートの危険性
脳の中枢神経を強く抑える
エトミデートは脳の中枢神経に働きかけて神経の働きを強く抑える鎮静薬です。
使用後には混乱やせん妄に伴って、幻覚のような症状が現れることがあります。
副腎機能障害を引き起こす
エトミデートは、体の脇腹にある副腎という臓器の皮質に悪い影響を与え、ストレスに対処するホルモンであるコルチゾールなど、体のバランスを保つために重要なステロイドホルモンの生成を抑える働きがあります。
これにより、副腎の機能が十分に働かなくなる病気(副腎機能障害)を引き起こした事例も報告されています。
交通事故のリスク
エトミデートの影響により、正常な運転ができないおそれがある状態で自動車等を運転した場合、死傷結果の発生の有無にかかわらず、道路交通法違反として処罰されます。
実際に、エトミデートを使用した状態で交通事故を起こしたケースも報告されています。
2025年5月、指定薬物に指定
厚生労働省による規制強化
この危険な薬物の広がりを受け、厚生労働省は迅速な対応を取りました。
2025年5月16日、エトミデートを医薬品医療機器等法に基づく「指定薬物」に追加し、同年5月26日から施行されました。
指定薬物とは
指定薬物とは、中枢神経系の興奮もしくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として指定された薬物です。
禁止される行為
指定薬物になると、医療等の用途を除き、以下の行為が原則禁止されます。
- 製造
- 輸入
- 販売
- 授与
- 所持
- 購入
- 譲り受け
- 使用
医薬品医療機器法違反の罰則
エトミデート(ゾンビたばこ)に関する行為が医薬品医療機器法に違反した場合、以下の罰則が適用されます。
指定薬物の所持・使用・購入・譲り受け
- 3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方
指定薬物の製造・輸入・販売・授与
- 5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方
指定薬物の所持や使用は、かつては規制がありませんでしたが、乱用による健康被害や交通事故などの危害事例が頻発したため、平成26年4月1日より、所持、使用、購入、譲り受けも新たに禁止され、厳しく取り締まられるようになりました。
若年層に広がる「ゾンビたばこ」
沖縄を中心に摘発が相次ぐ
「ゾンビたばこ」は、若年層を中心に乱用が広がりつつあります。
乱用拡大の中心と言われる沖縄では、指定薬物となった2025年5月以降、県内の初摘発は7月で、9月末までにエトミデートの所持で10人が逮捕、書類送検されました。
ほとんどが10代、20代の若者で、高校生もいました。交通事故を起こしたケースもありました。
全国に広がる懸念
警察庁によると、規制開始から9月末までのエトミデートを巡る摘発者は沖縄が10人で最多ですが、それ以外でも大分3人、三重2人、福岡1人と、各地に飛び火しつつある状況が浮かび上がります。
密輸組織も逮捕
2025年8月から9月にかけて、インドから密輸したとして中国籍の男3人が逮捕されました。
3人は千葉県船橋市、埼玉県川口市などに居住し、SNSで注文を受け、粉末エトミデートを自宅で液体状にしてカートリッジに詰め、首都圏で対面での販売を繰り返したとみられます。
捜査関係者は「当初は局地的な広がりと思っていたが、その後の捜査などで、日本にもエトミデートの市場ができつつあることが分かった」と危機感を示しています。
SNSを介して広がる危険
秘匿性の高い通信アプリに広告
「ゾンビたばこ」は、SNSを通じて販売され、若者の間で広がっています。
秘匿性の高い通信アプリには広告も出ているといい、「合法」であるかのように誘い込む実態があります。
「リラックスリキッド」などと称して宣伝
「笑気麻酔」「リラックスリキッド」「合法ハーブ」「脱法ドラッグ」など、無害であるかのように装う名称で宣伝されています。
怪しげなリキッドを「合法」と称して販売する業者の言葉を信じてはいけません。エトミデートは明確な指定薬物です。
電子たばこで吸引できる手軽さ
電子たばこで吸引できる手軽さも、乱用が広がる背景にあるとみられます。
ニコチンを含まないリキッド(液体)を加熱して蒸気を吸い込む電子たばこは、販売店の自主規制はあるものの、未成年の購入や使用は違法ではなく、若者らに普及が広がっています。
見た目では、液体にエトミデートなどの指定薬物が含まれていても分かりにくいのが問題です。
絶対に手を出さない
「ゾンビたばこ」は、あなたの健康、人生、そして社会に深刻な影響を与える極めて危険なドラッグです。
決して買わない・使わない・関わらないようにしてください。
一時の好奇心や誘惑で、あなたの未来を壊さないでください。
危険な情報に惑わされず、正しい知識を持って自分自身を守りましょう。
まとめ
「ゾンビたばこ」とは、指定薬物「エトミデート」を含む危険ドラッグの俗称です。エトミデートは海外では麻酔に使われる鎮静剤ですが、日本では医療用としても未承認で、過剰摂取すると手足がけいれんし、意識を失う場合があります。2025年5月に指定薬物に指定され、所持・使用は3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。若年層を中心に乱用が広がり、沖縄県などで摘発が相次いでいます。SNSを介して「合法」と称して販売される実態があり、絶対に手を出さないことが重要です。


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