1987年に吉村作治さんが発見した「第二の太陽の船」。約4600年前、クフ王のために作られた全長42メートルの大型木造船を、82歳の吉村さんが現代に甦らせようとしています。2017年から複数回のクラウドファンディングで資金を募り、JICAの支援も受けながら復原作業を進行中。大エジプト博物館での展示を目指すこのプロジェクトは、ピラミッドの謎解明の鍵を握る吉村さんの「人生最後の挑戦」です。
太陽の船とは?クフ王のための4600年前の船
太陽神ラーが船で空を航海する
古代エジプトでは、太陽が毎朝東の空から昇り、西の空に沈む姿に永遠の命を見出し、生きとし生けるもの全てを育む存在として崇拝していました。
その太陽を神格化したのが太陽神「ラー」。
古代エジプト人は、毎日太陽が昇り降りするのは、太陽神ラーが船に乗り、大空を航海しているからと考えていたのです。
クフ王の魂が旅するための船
「太陽の船」は、クフ王のピラミッドで見つかった大型木造船です。
クフ王の魂が**「あの世」と「この世」という果てしなく永い距離を移動するために用意された**と考えられています。
全長約42メートル、幅約5.9メートルの巨大な木造船で、約4600年前に作られました。
第一の船は1954年に発見済み
第一の太陽の船は、1954年にエジプト人により発見され、復原されて現在は博物館に展示されています。
この船の復原には20年以上の歳月がかかりました。
1987年、吉村作治が「第二の太陽の船」を発見
アジア初の大発見
1987年、早稲田大学助教授だった吉村作治さん率いる早稲田大学古代エジプト調査室が、「第二の太陽の船」を発見しました。
アジア人による歴史的な大発見でした。
30年以上、復原できずにいた理由
しかし、発見から30年以上、復原には至りませんでした。
理由1: 設計図がない → 4600年前の船をどう組み立てるかが分からない
理由2: 木材がかなり劣化している → 長い年月で変形・損傷が激しい
理由3: 莫大な費用がかかる → 完全復原には数億円が必要
吉村さんは、この船の復原を長年の夢としてきました。
2017年、74歳で「人生最後の挑戦」開始
第一弾クラウドファンディング
2017年、74歳になった吉村さんは「人生最後の挑戦」として、初めてのクラウドファンディングに挑戦しました。
タイトルは: 「人生最後の挑戦!ピラミッドの謎解明の鍵を握る太陽の船復原へ!」
目標金額: 2,000万円 用途: 3Dスキャナーの購入費
吉村さんはプロジェクトページでこう語りました:
「太陽の船の復原とピラミッド王墓説を覆すということは、私の人生をかけた最後にして最大の挑戦で、全財産をなげうってでも挑もうと、いまはアパート暮らしです。それくらい本気です」
目標達成、さらにネクストゴールも
2017年のクラウドファンディングは、目標額2,000万円を達成。
皆様の応援に励まされ、ネクストゴールも設定し、さらなる支援を募りました。
この資金で3Dスキャナーを購入し、復原案を作ることができました。
JICAの支援で本格的な復原作業開始
大エジプト博物館の事業として
「第二の太陽の船」の復原は、日本がODA(政府開発援助)で援助する大エジプト博物館の事業の一環として進められています。
JICA(独立行政法人国際協力機構)の支援を受けて、2020〜2027年度の8年間で、約3億円の予算を予定している一大プロジェクトです。
新たな問題:予想以上の劣化
しかし、復原作業を進める中で大きな問題が生じました。
発掘された木の部材が、予想以上に傷んで弱くなっていたのです。
復原には:
- 部材の補強
- 大がかりな骨組みの作成
が必要となり、予算枠を超えた約3,000万円の自己負担額が見込まれることに。
2023年、80歳で第二弾クラウドファンディング
再びの挑戦
2023年、80歳になった吉村さんは再びクラウドファンディングに挑戦しました。
タイトルは: 「吉村作治、80歳の挑戦!ピラミッドの太陽の船完成へ。」
目標金額: 1,500万円 ネクストゴール: 2,000万円 用途: 骨組み材料費、木材補強処理の化学物質購入費
吉村さんは語りました:
「このプロジェクトに、全財産をなげうってでも挑む覚悟ですが、どうしても私たちだけの力では夢を叶えることができません。皆さまも一緒に、この第二の太陽の船を、現代によみがえらせてみませんか?」
2023年11月、瑞宝中綬章を受章
2023年11月、吉村さんは秋の叙勲で瑞宝中綬章を受章しました。
長年にわたりエジプトと日本の学術交流に貢献したことが評価されたのです。
吉村さんは語りました:
「第二の太陽の船の発見と修復活動が評価されたことと思います」
2024年、エジプト調査隊存続の危機
第三弾クラウドファンディング
2024年10月、81歳の吉村さんは第三弾のクラウドファンディングを開始しました。
タイトルは: 「吉村作治エジプト調査隊、存続の危機!」
目標金額: 1,500万円 ネクストゴール: 2,000万円 最終目標: 3,000万円(2025年12月31日までの発掘研究資金)
エジプトの地を踏んで58年
吉村さんは語りました:
「エジプトの地を踏んでから、58年が過ぎました。『エジプトで掘りたい』その思いを実現するために、全身全霊を傾けてまいりました」
「今年で81歳を迎えた私は、応援してくださる皆様に支えていただき、エジプトと日本を行き来しながら、今も『ピラミッドの謎の解明』という夢を追い続けています」
800人以上の支援者
2024年12月23日、第一目標金額の1,500万円を達成。
過去最多の800人を超える方々からご支援をいただきました。
2025年、4カ年計画第一弾スタート
大エジプト博物館が全面開館
2025年11月1日、大エジプト博物館が全面開館しました。
この博物館の収蔵品の保存、修復やデータベース作成には多くの日本人専門家がかかわっており、日本の文化財保護の蓄積が国際貢献に生かされた点でも注目されています。
第二の太陽の船の復原も、その一環です。
82歳の挑戦、4カ年計画第一弾
2025年、82歳の吉村さんは4カ年計画第一弾として、またもクラウドファンディングに挑戦しています。
タイトルは: 「吉村作治エジプト調査隊 太陽の船 大エジプト博物館展示へ【第一弾】」
目標金額: 2,000万円 用途: 木材を保存する薬剤の調達費用 期限: 2026年1月26日
吉村さんは語りました:
「82歳の挑戦。4カ年計画第一弾・太陽の船完成へ」
「私の夢は、クフ王のピラミッドの謎を解明し、彼が眠る本当の墓を見つけること。その鍵を握るのが、『第二の太陽の船』の復原です」
いよいよ完成が見えてきた
2017年の第一弾クラウドファンディングに始まり、2023年に第二弾、2024年に第三弾、2025年に第四弾と、皆さまからの多大なご支援をいただき、今日まで復原活動を進めることができ、いよいよ第二の太陽の船の完成が見えてきています。
プロジェクトの3つの柱
吉村さんは、クフ王のピラミッドの謎を解明するために、3つのプロジェクトを展開しています。
1. 太陽の船プロジェクト
第二の太陽の船を復原し、大エジプト博物館で展示。
クフ王の死生観や当時の造船技術を解明する。
2. 大ピラミッド探査プロジェクト
クフ王のピラミッドの中に未知の空間があるかどうかを検証。
TVアンテナをピラミッド内外に置いて透視する新たな地中レーダーシステムの開発や、宇宙線ミュオンの量を微細に計測する方法などで挑戦中。
3. クフ王の墓を探すプロジェクト
ピラミッドは王墓ではなく、本当の墓は別にあるという吉村さんの仮説を検証。
クフ王が眠る本当の墓を見つけることが最終目標。
なぜ太陽の船が重要なのか?
ピラミッド建造の目的を解明する鍵
吉村さんは、ピラミッドは王墓ではないという仮説を持っています。
太陽の船は、その仮説を証明する重要な鍵を握っていると考えているのです。
もしピラミッドが王墓なら、なぜわざわざ船を2隻も埋めたのか?
船の復原によって、クフ王の真の意図が明らかになるかもしれません。
古代エジプトの造船技術の解明
4600年前の大型木造船を復原することで、古代エジプトの高度な造船技術が明らかになります。
当時の人々がどのような知識と技術を持っていたのか、現代の私たちが学ぶことは多いのです。
クラウドファンディングのリターン
吉村さんのクラウドファンディングでは、様々なリターンが用意されています。
人気のリターン:
- エジプトの太陽の船復原現場で、実物を見ながら直接解説
- 吉村作治の出張講座
- 太陽の船の特別講演会+吉村作治とのティータイム
- 太陽の船復原現場の解説ダイジェスト動画
- VR体験「Horizon of Khufu」ペアご招待
- エジプト調査隊オリジナル壁掛けカレンダー
- 太陽の船グッズ(クリアファイル、エコバッグ、ミニタオルなど)
「滅多に体験できないものばかり」と好評です。
現場主任・黒河内宏昌教授の言葉
現場主任を務める黒河内宏昌・東日本国際大学エジプト考古学研究所教授は語ります:
「将来、塾生の中からエジプト考古学者が生まれるのが大きな夢と希望ですが、例えプロの研究者にならなくても、古代エジプトに興味を持つ若者が増えることがプロジェクトの目的の一つです」
「このクラウドファンディングも、そのきっかけの一つとなることを期待しています」
プロジェクトの現状と今後
公開復原が進行中
現在、復原作業は公開復原として進められています。
大エジプト博物館で、来館者が復原作業の様子を見学できるようになっています。
完成まであと少し
2017年から8年間、粘り強く取り組んできた太陽の船プロジェクト。
いよいよ完成が見えてきています。
吉村さんは語ります:
「一人でも多くの方にこのプロジェクトのメンバーになっていただき、一緒に歴史的な瞬間を迎えられることを楽しみに、最後まで走り続けます」
まとめ: 82歳、全財産をなげうってでも
吉村作治さんの太陽の船プロジェクトをまとめると:
1987年: 第二の太陽の船を発見(44歳)
2017年: 第一弾クラウドファンディング開始(74歳)
2020年: JICA支援で本格的な復原作業開始(77歳)
2023年: 第二弾クラウドファンディング、瑞宝中綬章受章(80歳)
2024年: 第三弾クラウドファンディング(81歳)
2025年: 第四弾クラウドファンディング、大エジプト博物館全面開館(82歳)
2027年: 復原完成予定(84歳)
82歳になった今も、「全財産をなげうってでも挑む」と語る吉村作治さん。
アパート暮らしをしながら、4600年前の船を現代に甦らせようと奔走しています。
「ピラミッドの謎を解明し、クフ王が眠る本当の墓を見つける」
その夢の実現まで、あと少し。
吉村さんの挑戦は、今も続いています。
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参考情報: 本記事はクラウドファンディングサイトREADYFORの情報、公開されている報道、吉村作治さんの発言に基づいて作成しています。
クラウドファンディング情報: 最新のクラウドファンディング情報は、READYFORで「吉村作治」で検索してご確認ください。
免責事項: 記事内容は2026年1月時点の情報です。プロジェクトの最新状況は公式サイトでご確認ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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